花影会(かえいかい)は、昭和54年に故・武田太加志(たかし)が、晩年の芸道の集大成として発足した公演です。故人は、同会を通じて、能の芸術性の高さと深さを追求することを目指しました。50回を超えた花影会は、今も変わらずに発会の理念を受け継ぎ、一期一会の充実した企画をお届けできるよう努めています。
今回の花影会は、全て「親子」に関連する演目となります。中でも初番の能「仲光」は上演頻度が極めて低く、扱いも大変重いドラマティックな悲劇を、シテ仲光・文志、ツレ満仲(主君)・友志という配役にて上演致します。現代を生きる我々にとっては、些か理解に苦しむかも知れない程の、非常にシリアスな物語です。そのため今回は特に、会冒頭、宗典による解説を入れる事と致しました。その優しい導きにもご期待下さい。お客様方におかれましては、当日パンフレット・音声ガイド等のサービスも合わせてご活用頂き、是非当時の価値観に思いを馳せて頂けますれば幸いに存じます。本演目の深遠に触れて頂けた時、恐らくは他の演目では味わえない、本曲でのみ感じ得る様な感動や、何かを考えさせられる様な体験をして頂けるのではと期待致しております。留の能「天鼓」も友志が勤めます。前シテは非常に悲劇的な内容ですが、後シテの舞は非常に華やかであり、〈弄鼓之楽〉の小書(特別演出)により、一層リズミカルで楽しい演奏・舞となり、仲光に続いてのご鑑賞という事も踏まえ選曲致しました。また、齢84となる志房による独吟「隅田川」は、古来より受け継がれている特別な形にて、ワキの〈語〉の部分を謡います。狂言は人間国宝・山本東次郎師の「二人袴」、舞囃子・仕舞も全て気鋭の能楽師による、親子に因んだ演目を選定致しました。
本会を通して、当時の人々の様々な立場や生き様に思いを寄せ、共にひと時をお過ごし頂けますと幸いに存じます。皆様方のご来場を心よりお待ち申し上げております。


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